生命保険の見直しは、必要保障額を再計算して現在の加入金額との差を確かめることから始めます。調査の平均値では、死亡保険金の必要額に対して加入金額が682万円少なく、見直しが減額を意味するとは限りません。公的保障から不足分を出す手順と、契約を動かす11の方法、目的別の選び分けを整理します。
\ 見直しの前に決めること /
毎月出せる額と必要保障額の整理から、専属コンサルタントが一緒に取り組みます。
生命保険の見直しは必要保障額の再計算から始まる

見直しの出発点は、万一のときに必要な金額と、いま加入している金額の差を測ることです。死亡保険金の必要額は平均1,569万円、実際の加入金額は平均887万円です(生命保険文化センター 2025年度 生活保障に関する調査・2026年1月発行)。この2つの平均の差は682万円で、差額は当社が両者の平均から計算した値です。平均では差が不足側に出ているため、減額を前提に始めると判断を誤ります。
見直しという言葉は保険料を下げる文脈で使われがちですが、上の数字が示すのは逆方向のずれです。差が不足側に開いている状態で保険料だけを削ると、いざというときに家族が受け取る額はさらに小さくなります。ただしこれは全体の平均で、家族構成や貯蓄によっては必要額より加入金額が多い世帯も存在します。まず確かめるべきは、自分の差が不足側か過剰側かという向きです。
当社のABCashは、この工程を飛ばして手続きを選ぶことを最も避けるべきだと考えています。見直しの第一歩は、減らす検討ではなく差の測定です。生活設計の全体像から確認したい方は、ライフプランの全体像を整理した完全ガイドをご覧ください。
公的保障でいくら受け取れるかを先に確認する
差を測るには、まず公的保障の金額を押さえます。遺族には遺族年金が支給され、この分だけ民間の保険で用意する額を減らせるためです。
遺族基礎年金は、子のある配偶者が受け取る場合で年847,300円(1956年4月2日以後生まれの方・2026年4月分から)、これに子の加算額が1人目と2人目は各243,800円、3人目以降は各81,300円加わります(日本年金機構 遺族基礎年金・2026年6月更新)。この年額は、末子が18歳になった年度の3月31日まで続きます。
遺族基礎年金の累計受取見込(当社試算)
| 子の人数 | 年額 | 残り5年 | 残り10年 | 残り15年 |
| 1人 | 1,091,100円 | 約546万円 | 約1,091万円 | 約1,637万円 |
| 2人 | 1,334,900円 | 約667万円 | 約1,335万円 | 約2,002万円 |
| 3人 | 1,416,200円 | 約708万円 | 約1,416万円 | 約2,124万円 |
算出の前提: 上記の年額を改定なしで固定し、末子が18歳到達年度末までの残存年数で単純累計しました。上の子が先に18歳到達年度末を迎えると加算額が減るため、複数のお子さまがいる場合は上限側の目安です。変動する遺族厚生年金は含めていません。データ出典は日本年金機構 遺族基礎年金です。
会社員の場合はこれに遺族厚生年金が上乗せされます。金額は老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3で、在職中の死亡などでは被保険者期間が300月に満たなくても300月とみなして計算されます(日本年金機構 遺族厚生年金・2026年6月更新)。当社はこの300月みなしを見落としやすい要素だと見ています。勤続年数の短い若い世帯ほど、公的保障を小さく見積もるためです。
必要保障額から公的保障を引いて不足分を出す
必要保障額は、遺族の生活費・教育費・住居費・葬儀費用といった支出見込額から、公的保障と遺族の収入・貯蓄を差し引いた残りです。上の表で公的保障の累計が出ていれば、あとは支出見込額と突き合わせるだけで不足分が求まります。
子2人で末子が18歳になるまで10年ある世帯なら、遺族基礎年金だけで約1,335万円が見込めます。住宅ローンを団体信用生命保険付きで組んでいるなら、住居費も支出見込額から外れます。公的保障・団信・貯蓄を引いて残った額が、実際に生命保険で備える範囲です。この計算は世帯の状況で答えが変わるため、個別の資産設計は有資格のファイナンシャルプランナー(FP)や金融機関へ、具体的な税額・申告や相続税の判断は税務署または税理士にご確認ください。
保険料は家計のどこまでが適正か
自分の保険料が高いのか安いのかを判断するには、比較できる基準が必要です。2人以上世帯の生命保険(個人年金保険を含む)の年間払込保険料は平均35.3万円で、月あたり約2.9万円になります。同じ調査では世帯普通死亡保険金額の平均が1,936万円で、こちらは低下傾向が続いています(生命保険文化センター 2024年度 生命保険に関する全国実態調査・2025年1月発行)。
当社はこの2つを並べて見ています。保険料が横ばいのまま保障額だけ下がっているなら、同じ負担でより少ない保障を買っている計算になるためです。見るべきは金額そのものではなく、払う額と受け取れる額の釣り合いになります。なお家計の固定費は生命保険だけを切り出しても全体像が見えません。自動車保険 見直しについてはこちらで車の保険料の考え方を整理しています。
生命保険の見直し方法11の選択肢

契約を動かす方法は11通りあり、告知の要否と元に戻せるかどうかで優先順位が決まります。告知が必要な方法は健康状態によって選べなくなるため、告知不要で可逆な方法から順に検討すると失敗が減ります。目的で分けると、保険料を下げる・保障を足す・払込を止める・現金を確保するの4系統です。
見直し方法11種の比較(当社作成・4軸判定)
| # | 方法 | 保険料 | 保障 | 告知 | 元に戻せるか |
| 1 | 保険金の減額 | 下がる | 減る | 不要 | 復旧できる場合がある |
| 2 | 特約の解約 | 下がる | 減る | 不要 | 再付加には告知が必要 |
| 3 | 特約の中途付加 | 上がる | 増える | 必要 | 解約すれば戻せる |
| 4 | 追加契約 | 上がる | 増える | 必要 | 解約すれば戻せる |
| 5 | 払済保険への変更 | 以後ゼロ | 大きく減る・特約消滅 | 不要 | 復旧できる場合がある |
| 6 | 延長(定期)保険への変更 | 以後ゼロ | 死亡保障は同額・期間短縮 | 不要 | 復旧できる場合がある |
| 7 | 契約転換制度 | 変動 | 組み替え | 必要 | 不成立なら元契約に戻る |
| 8 | 解約して新規契約 | 変動 | 組み替え | 必要 | 戻せない |
| 9 | 払込方法の変更 | 下がる場合がある | 変わらない | 不要 | 変更で戻せる |
| 10 | 契約者貸付 | 変わらない | 変わらない | 不要 | 返済すれば戻る |
| 11 | 払込猶予・自動振替貸付 | 一時的に払わない | 変わらない | 不要 | 返済すれば戻る |
判定軸は当社が設定し、各方法の内容は生命保険文化センター 知っておきたい生命保険の基礎知識に基づいています。告知不要で元に戻せる方法から検討すると、判断のやり直しがききます。
①保険金の減額
主契約や特約の保障額を減らし、それ以降の保険料を下げる方法です。減額した部分は解約したものとして扱われるため、解約返戻金を受け取れる場合もあります(生命保険文化センター 保険金の減額)。告知が不要で手続きも簡単なため、保険料を下げたいときの第一候補になります。ただし主契約を減額すると各種特約の保障額も同時に下がる商品があるため、減額後の保障が必要保障額を割り込まないかを先に確かめてください。
②特約の解約
付加している特約だけを外し、その分の保険料を下げる方法です。使う見込みのなくなった特約があれば、主契約はそのままに負担を減らせます(生命保険文化センター 特約の解約)。注意したいのは、特約の種類によっては他の特約も同時に解約しなければならない場合がある点です。外したい特約だけを狙って外せるとは限らないため、生命保険会社に組み合わせを確認してから決めます。
③特約の中途付加
いまの契約に定期保険特約などを追加し、死亡保障を増やす方法です。契約全体を作り直さずに保障だけを足せます。増額部分の保険料は付加するときの年齢で計算され、告知または診査が必要です(生命保険文化センター 死亡保障に備える特約の中途付加)。中途付加を取り扱わない生命保険会社もあるため、選択肢に入るかは契約先次第になります。
④追加契約
いまの契約を残したまま、別の新しい保険を契約する方法です。既存契約の保険料に追加分が上乗せされますが、元の契約の条件には手を触れません(生命保険文化センター 追加契約)。当社が保障を足すときの基本形として見ているのはこの方法です。予定利率の高い古い契約がある場合、転換や乗り換えでその条件を手放すより、不足分だけを新しい契約で埋めるほうが失うものが少なくなります。
⑤払済保険への変更
保険料の払込みを止め、その時点の解約返戻金をもとに、保険期間はそのままで保障額の少ない保険に変更する方法です。以後の保険料負担がなくなる代わりに、死亡保障の額は大きく下がります。付加している各種特約は消滅します(リビング・ニーズ特約は継続するのが一般的)。解約返戻金が少ない場合や保険種類によっては変更できないこともあります(生命保険文化センター 保険料の負担軽減・払込の中止と契約の継続)。
⑥延長(定期)保険への変更
こちらも保険料の払込みを止める方法ですが、解約返戻金をもとに死亡保障のみの定期保険へ切り替えます。払済保険との違いは、死亡保険金がもとの保険と同額のまま残る点です。その代わり保険期間が短くなることがあり、各種特約は消滅します(生命保険文化センター 保険料の負担軽減・払込の中止と契約の継続)。保障額を維持したいのか保障期間を維持したいのか、この一点で払済保険との選択が決まります。
⑦契約転換制度
いまの契約の積立部分や積立配当金を「転換価格」として新しい契約の一部にあて、保障を組み替える方法です。新しく契約するより保険料負担は軽くなりますが、転換すると元の契約は一般的に消滅します。同じ生命保険会社でのみ利用でき、告知または診査が必要です。転換時の予定利率が元の契約より下がる場合、保険種類によっては保険料が上がります。生命保険会社には重要事項説明書面を交付し、転換以外の方法があることも説明する義務があります(生命保険文化センター 転換制度)。
⑧解約して新規契約に乗り換える
いまの契約を解約し、別の保険に入り直す方法です。保険会社をまたいで選べるため選択肢は最も広くなりますが、11の方法のうち唯一、元に戻す手段がありません。新しい契約には告知または診査が必要で、健康状態によっては加入できないこともあります。当社はこの方法を、他の10通りを検討したうえで最後に置くべき選択肢だと考えています。
⑨保険料の払込方法を変える
保障の中身に一切手を触れず、払い方だけを変える方法です。払込方法(回数・経路)は契約の途中でも変更でき、一般的に月払より半年払、半年払より年払と、まとめて払い込むほど保険料は割安になります(生命保険文化センター 保険料の払込方法)。経路にも口座振替扱・団体扱・クレジットカード扱などがあり、勤務先が生命保険会社と契約していれば団体扱を選べる場合があります。保障を減らさずに負担を下げられる可能性がある点で、減額より先に検討する価値があります。
⑩契約者貸付で現金を確保する
まとまった現金が必要になったとき、解約返戻金の一定範囲内で貸付を受ける方法です。貸付を受けている間も保障は変わりなく継続し、配当金を受け取る権利も残ります(生命保険文化センター 配当金の引出し・契約者貸付)。貸付金には所定の利息が複利でつき、返済しないまま満期や死亡を迎えると保険金から元利金が差し引かれます。資金需要のために保険を解約する前に、まず検討したい選択肢です。
⑪払込猶予と自動振替貸付で失効を避ける
保険料の払込みが遅れても、すぐに契約が終わるわけではありません。払込方法に応じた払込猶予期間があり、月払なら払込期月の翌月1日から末日までが猶予にあたります(生命保険文化センター 保険料の払込猶予期間と失効)。猶予期間を過ぎると、解約返戻金の範囲内で保険料を立て替える自動振替貸付が適用されるか、契約が失効します。失効すると契約の効力がなくなり、万一のときに保険金を受け取れません。失効後3年など一定期間内なら復活できますが、告知または診査と未払保険料の払込みが必要です。
要点: 11の方法のうち告知が必要なのは中途付加・追加契約・転換・乗り換えの4つだけです。残りの7つは健康状態に関係なく選べるため、まずこちらから検討すると選択肢を狭めずに済みます。
\ 選択肢が多くて選べないとき /
家計の数字を基準に、どの順番で契約を動かすかを60〜80分程度の体験で相談できます。
目的と年代で決める見直しの選び分け

目的が「保険料を下げる」「保障を足す」「払えない」のどれかに決まれば、候補は2〜3個に絞れます。年代は年齢そのものではなく、子の独立と住宅ローンの残りで判断すると迷いません。必要保障額が減る局面か増える局面かで、選ぶべき方法が変わるためです。
保険料を下げたいとき
最初に見るのは払込方法の変更です。保障を減らさずに負担が下がる可能性があり、告知も不要で元にも戻せます。それでも足りないときに減額と特約の解約を検討します。減額は保障額そのものを下げ、特約の解約は使わない保障を外すという違いがあり、必要保障額に余裕がある人は減額、付けた覚えのない特約が多い人は特約の解約が向きます。
払込みを止めたいところまで来たら、払済保険か延長保険です。保障額を残したいなら延長保険、保障の期間を残したいなら払済保険という順で考えます。どちらも特約が消滅するため、医療関係の特約を頼りにしている場合はその穴をどう埋めるかを先に決めてください。
保障を足したいとき
必要保障額の計算で不足が出た場合は、特約の中途付加か追加契約が候補です。どちらも告知が必要なので、健康状態に不安があるうちに動くほど選択肢が広く残ります。
当社が転換より追加契約を先に置くのは、既存契約の条件を守れるためです。古い契約は解約すると同じ条件では戻せません。転換を提案されたときも、まず追加契約と比べてから判断すると失うものが見えやすくなります。
年代で変わる見直しの着眼点
30代から40代前半は、子どもが小さく住宅ローンの残高も大きい時期です。必要保障額が人生で最も大きくなる局面のため、見直しの方向は不足の確認が中心になります。前述の682万円の差は、この層で特に効いてきます。
40代後半から50代は、子の独立と住宅ローンの完済が視野に入ります。必要保障額が下がり始めるため減額や特約の解約が現実的になりますが、妻が受け取る遺族厚生年金には40歳から65歳まで年635,500円の中高齢寡婦加算が付く場合があり(日本年金機構 遺族厚生年金・2026年6月更新)、公的保障の見込みも同時に変わる点を見落とせません。
60代以降は、死亡保障の役割が生活費の確保から整理費用や相続対策へ移ります。決めるのは年齢ではなく、必要保障額が増える局面か減る局面かです。どのライフイベントで見直すかというタイミングの判断は本記事の範囲外のため、親ハブの記事をご確認ください。
見直しの前に決めておくこと|当社の見解
一般には、保険の見直しは専門家に相談して決めるのがよいと案内されます。方向としては妥当ですが、当社のABCashはその手前に置くべき工程があると考えています。
毎月いくら保険料に出せるのか、万一のとき家族にいくら残す必要があるのか。この2つを自分の言葉で言えない状態で相談に行くと、提案の良し悪しを測る物差しがないまま話が進みます。当社は金融商品を販売しない教育事業のため、減額を選んでも増額を選んでも当社の収益は変わりません。だから特定の方法を勧めるのではなく、判断の物差しをつくる工程だけを扱っています。累計9万人以上(2026年5月時点)の受講に伴走してきた立場からも、手続きより先に金額を確定させる順番は崩しません。
相談先を探す段階の方は、保険相談 キャンペーンについてはこちらで相談窓口の使い方を整理しています。
見直しで損をしやすい4つの落とし穴

見直しの損は、無保険期間・予定利率・生命保険料控除・戻せる期限の4か所で起きます。いずれも手続きそのものが失敗するのではなく、順番や時期を誤ることで生じます。特に控除の切り替わりは案内されないまま進むことがあり、翌年の手取りに影響します。
無保険期間をつくってしまう
乗り換えで最も起きやすいのがこれです。新しい契約が成立する前に古い契約を解約すると、保障のない期間が生まれます。新規契約は申込みだけでは成立せず、告知や診査の結果を受けて生命保険会社が承諾して初めて効力が生じます。この間に万一のことがあれば、新旧どちらからも保険金は支払われません。解約の手続きは、新しい契約の成立通知を手元で確認してからにしてください。
予定利率の高い契約を手放す
契約時の予定利率は、その契約が続く限り維持されるのが原則です。転換や乗り換えをすると保険料は転換時・契約時の予定利率で計算し直されるため、条件が下がることがあります(生命保険文化センター 転換制度)。
予定利率の高い時期に結んだ契約は、いったん手放すと同じ条件では戻せません。契約年の古い保険を持っている方は、保険証券や契約時の設計書で予定利率を確認したうえで、減額や追加契約など元の契約を残す方法を優先して検討する価値があります。
生命保険料控除の枠が縮む
見落とされやすいのが税制の扱いです。生命保険料控除には2011年12月31日以前の契約に適用される旧制度と、2012年1月1日以後の契約に適用される新制度があり、一般生命保険料控除の上限(所得税)は旧制度が5万円、新制度が原則4万円です(国税庁 No.1140 生命保険料控除・令和7年4月1日現在法令等)。ただし新制度には、2026年・2027年分に限り23歳未満の扶養親族がいる場合は上限6万円となる特例があります。
問題は切り替わる条件です。旧制度の契約でも、更新・転換・保障のある特約の中途付加をすると、以後は契約全体の保険料が新制度の対象になります(生命保険文化センター 生命保険料控除)。
見直し方法別の控除制度への影響(当社作成)
| 見直し方法 | 適用される控除制度 |
| 減額・特約の解約 | 変わらない(支払保険料が減れば控除額は減る) |
| 特約の中途付加(保障あり) | 旧→新に切り替わる |
| 更新 | 旧→新に切り替わる |
| 契約転換 | 転換後は新制度(一部転換なら元契約は旧制度) |
| 解約して新規契約 | 新契約は新制度 |
| 追加契約 | 既存契約は変わらず、追加分が新制度 |
| 払済・延長への変更 | 払込を止めるため以後の控除対象がなくなる |
| 払込方法の変更・契約者貸付 | 変わらない |
| リビング・ニーズ特約などの中途付加 | 旧制度のまま |
対応づけは当社が行いました。当社はこれを最も見落とされやすい損だと見ています。手続きの案内で説明されるとは限らず、影響が出るのは翌年の年末調整だからです。前述のとおり新制度の一般生命保険料控除(所得税)は原則4万円が上限ですが、23歳未満の扶養親族がいる世帯では2026年・2027年分に限り上限6万円となる特例があります(生命保険文化センター 生命保険料控除)。3つの控除を合計した限度額12万円は変わらず、控除枠の増減はあくまで適用制度の話で、実際の税負担の差は税率次第です。個別の資産設計は有資格のファイナンシャルプランナー(FP)や金融機関へ、具体的な税額・申告の判断は税務署または税理士にご確認ください。
元に戻せる期限を逃す
減額・払済保険・延長保険への変更は、一定期間内であれば変更前の契約に戻せる場合があります。これを復旧といい、告知または診査と積立金の不足額の払込みが必要です(生命保険文化センター 復活・復旧)。復旧できる期間を過ぎると、元の契約には戻せません。復旧を取り扱わない生命保険会社や商品もあるため、変更の手続きをする時点で「いつまでなら戻せるか」を確認しておくと、判断を急がずに済みます。
要点: 損の多くは手続きの中身ではなく順番から生まれます。解約は新契約の成立後、転換の判断は予定利率と控除制度の確認後、変更は戻せる期限を確かめてから進めてください。
生命保険の見直しに関するよくある質問
生命保険の見直しで損をすることはありますか?
あります。主なものは、新契約成立前の解約による無保険期間、予定利率の高い契約の手放し、生命保険料控除が旧制度から新制度に切り替わることによる控除枠の縮小、復旧できる期限の経過の4つです。いずれも順番や時期の問題なので、解約は新契約の成立を確認してから、変更は戻せる期限を確かめてから進めれば回避できます。
40代・50代で生命保険を見直すときは何を見ればいいですか?
年齢よりも、子の独立と住宅ローンの残りを見てください。この2つが片付くと必要保障額が下がるため、減額や特約の解約が現実的な候補です。一方で、要件を満たす妻には40歳から65歳まで遺族厚生年金に年635,500円の中高齢寡婦加算が付く場合があると日本年金機構が示しており、公的保障の見込みも同時に変わります。
生命保険を見直すと生命保険料控除はどうなりますか?
方法によって変わります。減額・特約の解約・払込方法の変更では制度は変わりませんが、更新・契約転換・保障のある特約の中途付加をすると、2011年以前に結んだ旧制度の契約でも以後は契約全体の保険料が新制度の対象になります(生命保険文化センター)。上限(所得税)は旧制度が5万円、新制度が原則4万円(2026年・2027年分は23歳未満の扶養親族がいる場合のみ6万円)のため、見直し前に控除証明書で契約日を確認しておくと判断しやすくなります。
保険料が払えないときは解約するしかないですか?
解約以外の選択肢があります。払込猶予期間内であれば契約は有効に続き、猶予期間を過ぎても解約返戻金の範囲内で保険料を立て替える自動振替貸付が適用される場合があります(生命保険文化センター)。一時的な資金不足なら契約者貸付で現金を確保しながら保障を続ける方法もあり、恒久的に負担を下げたいなら減額・払済保険・延長保険が候補です。
減額と払済保険はどちらを選べばいいですか?
保険料を払い続けられるかどうかで分かれます。払い続けられるなら減額で、保障額を必要な水準まで下げるだけで済み特約はそのまま残ります。払込み自体を止めたいなら払済保険ですが、付加している各種特約は消滅します(リビング・ニーズ特約は継続するのが一般的)。医療関係の特約を頼りにしている場合は、消滅する保障の中身を確認してから決めてください。
保険を含めた家計と資産の全体設計を改めて確認したい方は、ライフプランの基礎からの総まとめはこちらをご覧ください。
まとめ
生命保険の見直しは、必要保障額と加入金額の差を測ることから始まります。公的保障を引いてから不足分を出すと、減らすべきか足すべきかが数字で決まります。契約を動かす方法は11通りあり、告知が不要で元に戻せる方法から検討すれば選択肢を狭めずに済みます。まずは保険証券を開いて、いまの加入金額を書き出すところからです。
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