複利を試算できる積立シミュレーション11選|選び方と注意点

複利で積み立てる試算は、初期投資額やボーナスなど入れたい条件を扱えるツールで選びます。入力欄が3つだけの金融庁つみたてシミュレーターもあれば、複利の頻度と課税まで指定できるカシオの高精度計算サイトもあります。実際に開いて確認した11本を、入力できる項目と注記で比べました。

\ 入力する数字から決めたい方へ /

専属コンサルタントが、あなたの家計に合う積立額の決め方をお伝えします。

積立シミュレーションで複利の結果がずれる3つの前提

複利の頻度・払込の時期・税の扱いを利用者が指定できるのは各軸1本だけという積立試算ツール11本の実測結果
3つの前提はいずれも「指定できる」が11本中1本にとどまる(当社の調査に基づく/2026年8月5日時点)

同じ条件を入れても結果がずれるのは、複利の頻度・払込の時期・課税の扱いがツールごとに揃っていないためです。当社が11本のツールの注記を読み比べたところ、複利の頻度を明示していたのは3本、払込の時期を選べるのは1本だけでした(2026年8月時点)。前提を先に押さえると、金額の違いに理由がつきます。

金融庁は複利を「投資や預金などで得た収益を、当初の元本にプラスして運用することで得られる利益」と説明しています(金融庁 資産形成の基本、2026年8月時点)。定義そのものは1つでも、それを何回組み入れるか、いつ払い込んだ扱いにするか、税を引くかは各ツールの設計に委ねられています。定義が共通なのに答えが割れるのは、この設計の部分が公開されていないからです。

当社が実測した11本の前提の明示状況は次のとおりです。

前提の軸 利用者が指定できる 記載はあるが指定はできない 記載を確認できない
複利の頻度(毎月か年1回か) 1本 6本 4本
払込の時期(期初か期末か) 1本 0本 10本
税・手数料の扱い 1本 8本 2本

対象は公開されている積立試算ツール11件(公的機関1・証券会社3・銀行1・運用会社2・情報会社2・計算サイト1・相談事業者1)、期間は2026年8月5日時点、集計方法は各ページを開いて入力欄のラベル・計算モードの選択肢・注記文を目視で確認する形です。データは当社の調査に基づきます。

当社はこの偏りを、使う側が前提を選べないことが標準になっている状態だと見ています。そのため当社では、結果の数字を比べる前に、そのツールが何を前提にしているかを先に確認する順序を勧めています。

複利を毎月組み入れるか、年1回にするか

複利の頻度とは、生まれた利息を元本に組み入れる回数のことです。毎月組み入れれば利息が利息を生む回数が増え、年1回ならその回数は12分の1になります。同じ利回りを入れても、この設定が違えば残高は変わります。積立期間が長くなるほど、組み入れ回数の差は残高の差として積み上がります。

実測すると、頻度まで書いているツールは限られていました。SBI証券は「本シミュレーションは、1ヵ月に1回再投資した複利で計算しています」と明記しています(SBI証券 積立シミュレーション、2026年8月時点)。SBI新生銀行も同じ表現を採っています。一方で「複利計算を行ったものです」といった記載にとどまり、頻度に触れていないツールが4本ありました。

頻度が書かれていないツール同士を比べると、差の原因を特定できません。当社は、複数のツールを使うなら頻度を明示している側を基準に置くよう案内しています。基準が1つ決まれば、他のツールとの差は「頻度の違いによるもの」と当たりをつけられるからです。原因の見当がつけば、入力ミスを疑って時間を使わずに済みます。

払い込む時期と初期投資額をどう置くか

払込の時期とは、その月の積立を月初に入れたことにするか、月末に入れたことにするかの違いです。月初なら各回が1か月分だけ長く運用されるため、残高はわずかに大きくなります。金額としては小さいものの、答えが食い違う理由の一つになります。

この時期を利用者が選べるツールは、実測した11本のうちカシオの高精度計算サイト1本だけでした。残り10本は前提が固定で、どちらを採用しているかの記載も確認できていません。つまり、この軸については比較のしようがないまま結果を受け取ることになります。

もう一つ結果を大きく動かすのが、すでに手元にある資金を初期投資額として入れられるかどうかです。入力欄を持つツールは11本中6本で、金融庁・楽天証券・SBI証券・野村證券・SBI新生銀行の5本は毎月の積立だけを扱います。手元の貯金を含めたい場合、この5本ではそもそも条件を入れられません。貯金を別枠で足し算しても、その分が運用される前提が抜け落ちます。

税金と手数料を引く前か、引いた後か

3つ目の前提は、表示される金額が税や手数料を引く前かどうかです。実測した11本のうち8本は「税金、手数料、費用等を考慮しておりません」といった注記を置いており、表示額は引く前の数字だとわかります。逆に言えば、注記を読まないかぎり引く前か後かは判別できません。

例外はカシオの高精度計算サイトで、非課税と複利毎課税を切り替えたうえで税率を入力でき、利息と税引後の両方を表に出します。運用益に対する課税を試算に組み込めるツールは、確認した範囲ではここだけでした。非課税制度の口座を使う予定なら税を引かない表示のままでよく、課税口座なら引いた後の金額を見ておく必要があります。課税口座での税率そのものは国税庁の特定口座制度の説明で確認できます(2026年8月時点)。

要点: 結果がずれる原因は複利の頻度・払込の時期・課税の3つに絞られます。11本中で3つとも指定できるのは1本だけで、多くのツールは前提が固定されています。

なお、複利の計算式そのものや表計算ソフトでの検算手順は複利計算 積立 シミュレーションについてはこちらで扱っています。他の試算との使い分けは積立シミュレーションの全体像を整理した完全ガイドにまとめました。

複利を試算できる積立シミュレーション11選

初期投資額の入力可否と逆算モード数1〜8種で積立試算ツール11本を配置した2軸ポジショニングマップ
縦は初期投資額の入力可否、横は逆算モード数。知名度と機能の多さは一致しない(当社の調査に基づく/2026年8月5日時点)

11本は、入力できる項目と逆算モードの数ではっきり分かれます。初期投資額を入れられるのは6本、ボーナス月の増額に対応するのは1本で、逆算モードは最少1種から最多8種まで開きがありました(2026年8月時点)。

掲載の基準は1つだけ置きました。2026年8月5日に実際にページを開き、入力欄と注記を確認できたツールに限るという基準です。他の比較記事で名前の挙がるツールのうち3本は、当社が確認した時点で掲載先のページへ到達できませんでした。提供が終わったのかURLが移ったのかまでは判断できないため、確認できたものだけを並べています。

ツール 初期投資額 ボーナス増額 取り崩し 逆算モード数 複利頻度の明示 税・手数料の注記
金融庁 つみたてシミュレーター — — — 3 — —
楽天証券 積立かんたんシミュレーション — — — 1 記載あり あり
SBI証券 積立シミュレーション — — — 1 毎月 あり
三菱UFJアセットマネジメント ○ — ○ 3 — あり
野村證券 みらい電卓 — — — 2 記載あり あり
SBI新生銀行 積立シミュレーション — — — 4 毎月 あり
アセットマネジメントOne ○ — ○ 4 — あり
ウエルスアドバイザー 金融電卓 ○ — ○ 8 — —
カシオ 高精度計算サイト ○ — — 1 選択可 課税を内蔵
投資信託相談プラザ ○ ○ ○ 1 記載あり あり
マネーフォワード Money Journey ○ — — 1 記載あり あり

対象は上記11件、期間は2026年8月5日時点、集計方法は各ツールの入力欄ラベルと計算モードの選択肢を目視で数える形です(「記載あり」は複利で計算している旨のみが書かれ、頻度の記載がないものを指します)。データは当社の調査に基づきます。

この表を作って見えたのは、知名度と機能の多さが一致していないという点です。名前が広く知られた金融機関のツールほど入力欄は3つに絞られ、名前をあまり見かけないツールほど条件を細かく置けます。提供元の区分で見ても傾向が分かれ、証券会社と公的機関のツールは入力3項目に統一されている一方、運用会社と情報会社のツールは初期投資額の入力を備え、そのうち3本は取り崩しまで扱えました。前者は口座開設の手前で迷わせない設計、後者は資産全体を眺める設計だと考えると、機能差の理由に説明がつきます。

金融庁 つみたてシミュレーター

入力欄は毎月の積立金額・想定利回り・積立期間の3つだけで、将来額・毎月の積立額・積立期間の3方向から計算できます(金融庁 つみたてシミュレーター、2026年8月時点)。初期投資額の欄はありません。

最大の特徴は、特定の金融商品の取引を推奨し勧誘するものではないと明記されている点です。試算のあとに口座開設へ導く設計になっていないため、数字だけを取りに行けます。金融機関が提供するツールでは結果画面から商品や口座開設の案内へ続くことがありますが、このツールにその導線はありません。

当社は、最初の1回はこのツールを開くよう案内しています。金融商品を販売しない立場で教育を行っているので、どの提供元のツールを勧める理由も持ちません。だからこそ、勧誘の導線がなく入力欄が少ないものを出発点に置くのが素直だと考えています。

楽天証券 積立かんたんシミュレーション

毎月積立額・積立期間・リターンの3項目で最終積立金額を出すシンプルな設計です。注記には「期待利回りは、再投資され、複利計算を行ったものです」「申込手数料、税金等は控除しません」とあります(楽天証券 積立かんたんシミュレーション、2026年8月時点)。

複利で計算していることは明示されていますが、組み入れの頻度までは書かれていません。同じ入力で他のツールと差が出たとき、その差が頻度の違いによるものかを判定する材料は、このページ内にありません。入力から結果までの手数が少なく、条件を何通りも試したい場面では速く回せます。

当社はこれを欠陥ではなく設計思想の違いと見ています。入り口を軽くする代わりに前提の説明を省いた形なので、細かく詰めたい段階では別のツールへ移るのが実務的です。

SBI証券 積立シミュレーション

毎月積立額・積立期間・利回りの3項目で、結果をグラフで表示します。注目したいのは注記で、「本シミュレーションは、1ヵ月に1回再投資した複利で計算しています」と頻度まで書かれ、あわせて「税金、手数料、費用等を考慮しておりません」と明記されています(SBI証券 積立シミュレーション、2026年8月時点)。

入力欄の数は最少クラスなのに、前提の開示は11本のなかで最も丁寧な部類です。機能の多さと情報の誠実さが別軸であることが、この1本によく表れています。頻度と課税という、結果を最も動かす2つの軸が1画面に書かれている点が実務的です。

当社は、複数のツールを使い比べるときの基準値をここで取ることを勧めています。頻度が確定している数字が1つあれば、他のツールとの差の原因を絞り込めるからです。前提が書かれているツールを基準に置くという発想は、金額の正確さよりも比較の再現性を優先する考え方になります。

三菱UFJアセットマネジメント つみたて(積立)投資シミュレーション

初期投資額の入力欄を持ち、将来の予想資産額・毎月の積立額・初期投資額の3方向で計算できます。さらに取り崩しシミュレーションが併設されており、貯める段階と使う段階を同じ画面構成で扱えます(三菱UFJアセットマネジメント つみたて(積立)投資シミュレーション、2026年8月時点)。

このツール固有の要素が、想定リターンどおりに運用できた場合の値に加えて、毎月5,000通りのケースで計算した値を並べて表示する点です。1本の右肩上がりの線ではなく、上振れと下振れを含んだ幅として結果が出る形です。注記には「本機能は手数料、税金等は考慮しておりません」とあります。

当社はこの幅の表示を、他の10本にはない価値だと評価しています。1本の線だけが示されると、その金額は確定値のように見えがちです。幅で見る経験を一度しておくと、想定利回りという入力値の性格が体感としてわかります。下振れ側の金額でも計画が壊れないかを確かめる使い方が向いています。

野村證券 みらい電卓〜積立編〜

毎月の積立金額・想定利回り・積立期間から将来額を出すほか、目標金額を先に置いて毎月いくら必要かを逆算できます。「複利計算をしています」「手数料・税金等は考慮していません」と注記されています(野村證券 みらい電卓、2026年8月時点)。

このツールの持ち味は、結果を1年目から20年目まで年単位で並べて表示するところです。元本・運用収益・合計が年ごとに分かれるため、運用収益が元本に対してどの時点から効き始めるかを目で追えます。前半は元本がほとんどを占め、後半に運用収益の列が伸びていく形がそのまま数字で現れます。

当社は、複利という言葉が腑に落ちない段階の方にこの表示を勧めています。合計額だけを見ても増え方の形はわかりません。年ごとの内訳を見れば、後半に効いてくる構造が説明なしで伝わります。途中でやめた場合に何を手放すことになるのかも、同じ表から読み取れるはずです。

SBI新生銀行 積立シミュレーション

将来額・毎月積立額・積立期間・利回りの4方向から計算できる点が特徴で、逆算モードの数では11本のなかで上位に入ります。注記は「本シミュレーションは、1ヵ月に1回再投資した複利で計算しています。また、税金、手数料、費用等を考慮しておりません」と、頻度と課税の扱いを1文にまとめています(SBI新生銀行 積立シミュレーション、2026年8月時点)。

銀行が提供するツールのなかでは珍しく、目標額から必要な利回りそのものを逆算できる点も持ち味です。目標額と積立額と期間が先に決まっている場合、必要な利回りが何%になるかを出せます。利回りを入力値としてしか扱わないツールが多いなかで、この方向の計算に対応していたのは、実測した11本ではこのツールとウエルスアドバイザーの金融電卓だけでした。

当社はこの使い方を、無理のある計画を早めに見つける方法として評価しています。逆算した利回りが現実離れした水準になれば、その計画は利回りではなく金額か期間を直すべきだとわかります。

アセットマネジメントOne 資産運用かんたんシミュレーション

初期投資額と毎月の積立金額の両方を入れられ、将来額・毎月の積立金額・初期投資額に加えて、運用したあとの取り崩し可能金額を月あたりで計算できます(アセットマネジメントOne 資産運用かんたんシミュレーション、2026年8月時点)。注記には「税金や手数料等は考慮していません」「毎月均等に一定額を取り崩すことを前提とします」とあります。

取り崩しまで扱えるツールは11本中4本で、そのうち同じツールの中で積立額と取り崩し可能額を続けて出せるのは、このツールとウエルスアドバイザーの金融電卓でした。三菱UFJアセットマネジメントと投資信託相談プラザは、取り崩し専用のツールを別に用意する形です。取り崩しの前提が均等額であることも明記されているため、結果の読み方に迷いません。

当社は、老後資金を目的に積立額を決める場面でこの往復が効くと考えています。貯める金額を先に決めても、それが毎月いくらの取り崩しに相当するかが分からなければ、目標額の妥当性は判断できないからです。

ウエルスアドバイザー 金融電卓

計算モードが8種類あり、将来の運用総額・運用期間・必要な利回り・毎月の投資額・毎月の受取額・受取期間・利回り・必要な金額のいずれからでも逆算できます(ウエルスアドバイザー 金融電卓、2026年8月時点)。初期投資額の入力にも対応します。

逆算モードの数は実測した11本のなかで最多でした。積み立てる側と受け取る側の両方に4モードずつ用意されている構成で、条件が固まっている人ほど使いこなせます。逆に、決まっている条件が1つもない状態で開くと、どのモードを選ぶかから迷うことになります。

一方で、複利の頻度や課税の扱いについての注記は確認できませんでした。当社は、このツールを最初の1本にはせず、条件が固まったあとの詰めに使う位置づけで案内しています。モードが多いほど、置いた前提の数も増えるためです。

カシオ 高精度計算サイト 積立計算(複利毎課税)

複利の頻度を月複利・半年複利・年複利から、払込の時期を期初・期末から、課税を非課税・複利毎課税から選べます(カシオ 高精度計算サイト 積立計算(複利毎課税)、2026年8月時点)。課税を選んだ場合は税率も自分で入力でき、元利合計と利息の表に加えて税引後の金額が並びます。

3つの前提をいずれも利用者が指定できるのは、実測した11本のうちこの1本だけでした。他のツールで結果が食い違ったとき、ここで頻度と時期を切り替えて再計算すれば、どちらの前提を採っているかを逆算できます。表示が金融機関のツールほど整っていない代わりに、計算の中身が全部見えている形です。

当社はこのツールを、比較の答え合わせをする場所として使っています。金融機関のサイトではないため商品の紹介も勧誘もなく、前提を変えたときの差だけを純粋に確認できるからです。

投資信託相談プラザ つみたて投資 シミュレーションツール

入力項目は初期投資額・毎月の積立額・ボーナス時の増額・期待リターン・積立期間の5つです(投資信託相談プラザ つみたて投資 シミュレーションツール、2026年8月時点)。注記には「購入時の手数料や保有期間中の運用管理費用(信託報酬)、収益に対する税金等は考慮されておりません」とあります。

特筆すべきは、実測した11本のなかでボーナス時の増額を入力欄として持つ唯一のツールだった点です。賞与の一部を年2回だけ上乗せする積み方を試算したい場合、残る10本ではその条件そのものを入れられません。なお今回の実測は各ツール1ページずつを対象としているため、同じ提供元が別ページで別の条件に対応している可能性までは追っていません。入力できる項目が5つあっても操作は1画面で完結し、条件の追加が負担になりにくい作りです。

当社は、賞与のある働き方をしている方にこのツールを勧めています。毎月の積立額だけで試算すると、実際より少ない金額が出てしまい、目標額に届かないという誤った結論につながるためです。積み立てたあとの取り崩しを扱う別ツールも同じサイト内に用意されています。

マネーフォワード Money Journey 資産運用積立シミュレーション

資産運用の元本・毎月の積立金額・想定利回り・運用期間の4項目を入れると、年ごとに元本・年間の積立額・積立額合計・年間の利息・利息合計を並べた表が出ます(マネーフォワード Money Journey 資産運用積立シミュレーション、2026年8月時点)。注記は「税金や手数料等は考慮していません」です。

このツールの価値は、利息だけを取り出して年ごとに追える表示にあります。合計額の推移だけを見せるツールが多いなかで、年間の利息と利息合計を別列に分けているため、複利が効き始めた年が数字で特定できる点が強みです。同じページには「同様の複利計算はExcelなど表計算ソフトで『FV関数』を使用して算出することもできます」と併記され、自分で検算する導線までつながっています。

当社は、試算を1回で終わらせないための道具としてこの表示を評価しています。年ごとの利息が並んでいれば、翌年に条件を変えて計算し直したときに、どこがどう動いたかを前回と突き合わせられるからです。

要点: 11本の差は使いやすさではなく、入力できる項目と逆算モードの数に出ます。手元資金を含めたいなら6本、ボーナスを含めたいなら1本が候補です。

\ ツールより先に決めること /

家計の収支を洗い出し、毎月どこまで積立に回せるかを60〜80分程度で確認できます。

目的別に見る積立シミュレーションの選び方

出発点を1つ選ぶと候補が最大3本まで絞り込める積立シミュレーションの目的別分岐図
出発点を1つに決めれば、11本は最大3本まで絞り込める(当社の調査に基づく/2026年8月5日時点)

選び方は目的で決まります。家計の余力から積立額を決めるなら入力欄の少ないツール、目標金額から逆算するなら逆算モードの多いツールが向きます。11本の実測では逆算モードは1種から8種まで開きがあり、この差が使い勝手を大きく左右しました(2026年8月時点)。

出発点 必要な機能 該当するツール
毎月の積立額が決まっている 入力3項目のみ 金融庁/楽天証券/SBI証券
目標金額が決まっている 逆算モード 野村證券/SBI新生銀行/ウエルスアドバイザー
手元資金も投じたい 初期投資額の入力 三菱UFJアセットマネジメント/アセットマネジメントOne/マネーフォワード ほか計6本
賞与も上乗せしたい ボーナス増額の入力 投資信託相談プラザ
取り崩しまで見たい 取り崩し計算 アセットマネジメントOne/三菱UFJアセットマネジメント ほか計4本
税引後を知りたい 課税の指定 カシオ 高精度計算サイト

この対応表は、上記11本の入力欄と計算モードの実測(2026年8月5日時点・当社の調査)から作成しています。使い方は単純で、左の列から自分の出発点を1つだけ選び、その行のツールを開きます。出発点を2つ以上選ぼうとすると、条件が固まらないままツールを開くことになります。

家計の余力から積立額を決めたいとき

毎月いくら積み立てられるかが先に決まっている場合、必要な入力は金額・利回り・期間の3つだけです。金融庁のつみたてシミュレーター、楽天証券、SBI証券は、いずれもこの3項目だけで結果が出せる設計です。

このとき、入力欄が多いツールを選ぶと判断が増えます。初期投資額をいくらにするか、ボーナスをいくら乗せるかを同時に決めることになり、本来確かめたかった「今の積立額で20年後にどうなるか」という問いがぼやけてしまうためです。

当社は、家計起点の方にはまず3項目のツールを勧めています。積立額が家計の実態から出ている限り、その数字は動かす必要のない確定値だからです。動かして試すべきは期間と利回りのほうになります。期間を5年ずつ延ばして結果の伸び方を見ると、いつまで続けるかという判断材料が手に入ります。

目標金額から逆算したいとき

必要額が先に決まっている場合は、逆算モードを持つツールを選びます。野村證券のみらい電卓は目標金額から毎月の積立額を出せ、SBI新生銀行は必要な利回りまで逆算できる仕様です。ウエルスアドバイザーの金融電卓は8方向のいずれからでも計算できます。

逆算で出た数字が現実的かどうかは、家計側で検証してください。毎月12万円という結果が出ても、それが家計の黒字を超えていれば計画としては成立しません。逆算は目標の実現可能性を測る道具であって、目標を正当化する道具ではありません。

積立を含む投資の試算を目的別に使い分ける考え方は投資シミュレーション 積立についてはこちらで整理しています。

手元資金やボーナスも含めたいとき

すでにある貯金を投じるなら、初期投資額の欄を持つ6本が候補です。三菱UFJアセットマネジメント、アセットマネジメントOne、ウエルスアドバイザー、カシオ、投資信託相談プラザ、マネーフォワードが該当します。

ボーナス月の増額まで含めたい場合、実測した11本では投資信託相談プラザの1本に絞られます。毎月の積立額に賞与分をならして入力する代用もできますが、増額のタイミングが年2回に偏る分、実際の結果とは少しずれます。ずれの向きは下振れ側で、ならした試算のほうが実際よりやや大きく出る点に注意が必要です。

まとまった資金を一度に投じる場合の試算は、積立とは式が変わります。その考え方は一括投資 シミュレーション 楽天についてはこちらで扱っています。

税引後の手取りに近い数字が欲しいとき

課税口座で運用する場合、表示額から税を引いた金額が実際に手元へ残ります。実測した11本のうち、課税を試算に組み込めるのはカシオの高精度計算サイトだけでした。非課税と複利毎課税を切り替え、税率も指定できます。

他の10本を使う場合は、表示された運用益に対して自分で税率を掛けるしかありません。そのため当社は、使う口座が課税口座か非課税制度の口座かを先に決めてからツールを開く順序を案内しています。順序が逆だと、非課税前提の金額を課税口座の計画に流用してしまうからです。なお非課税制度の口座を使う場合でも、信託報酬は口座の種類にかかわらず差し引かれる点は変わりません。

要点: 家計起点なら3項目のツール、目標額起点なら逆算モードの多いツール、税引後を見たいならカシオという分岐になります。

複利の試算結果を読むときの注意点

表示額から税金・信託報酬・購入時手数料が引かれ試算額の1割前後を自分で割り引く必要があることを示す帯図
表示額から引かれる3項目と、割り引いて受け止める目安(当社の調査に基づく/2026年8月5日時点)

表示された金額は、税金も信託報酬も引く前の数字です。想定利回りも毎年同じようには実現しません。実測した11本のうち8本が「税金、手数料、費用等を考慮しておりません」と自ら注記しており、この点はツール側も前提として開示しています(2026年8月時点)。

表示額には税金も信託報酬も含まれていない

試算結果から差し引かれる要素は、大きく3つあります。式のどこにも登場しないため、表示額を見ているだけでは存在に気づきません。

引かれる項目 内容 確認する場所
課税口座での税金 運用益に対して課税される 使う口座が課税口座か非課税制度の口座か
信託報酬 保有している間ずっと資産から差し引かれる 目論見書の運用管理費用
購入時の手数料 買い付けのたびに差し引かれる場合がある 目論見書・取引画面の手数料欄

この3つを引いた金額が、手元に残る額の現実的な目安になります。当社は、試算額の1割前後は自分で割り引いて受け止めるくらいの構えを標準にしています。正確な金額は商品と口座によって変わるため、断定はできません。

注記の書き方はツールごとに違う

同じ「考慮していない」でも、どこまで書くかは提供元によって差があります。実測した注記文を並べると、開示の粒度がはっきり分かれました。

ツール 注記文(原文)
SBI新生銀行 「1ヵ月に1回再投資した複利で計算しています。また、税金、手数料、費用等を考慮しておりません」
楽天証券 「期待利回りは、再投資され、複利計算を行ったものです」「申込手数料、税金等は控除しません」
投資信託相談プラザ 「購入時の手数料や保有期間中の運用管理費用(信託報酬)、収益に対する税金等は考慮されておりません」
三菱UFJアセットマネジメント 「本機能は手数料、税金等は考慮しておりません」

信託報酬まで名指しで書いているのは、この4本のうち1本だけです。「手数料」とだけ書かれている場合、それが購入時の手数料を指すのか保有中の費用まで含むのかは読み取れません。当社は、注記の粒度が細かいツールほど結果の解釈で迷いにくいと評価しています。注記に信託報酬の記載があるかどうかは、ツールを選ぶときの目安になります。

想定利回りは毎年同じようには実現しない

試算では想定利回りを毎年一定として計算します。実際の運用は上下に振れ、下落する年もあるのが前提です。この差を体感するには、三菱UFJアセットマネジメントのように上振れと下振れの幅を並べて表示するツールが役に立ちます。

同じ条件で高めと低めの2通りを計算し、幅として持っておく方法も有効です。1つの数字を信じるより、その範囲のどこに着地しても計画が崩れないかを確かめるほうが、判断としては安全になります。

個別の資産設計や商品選びについては、有資格のファイナンシャルプランナーや金融機関にご相談ください。本記事はツールの機能を比較したものであり、特定の金融商品や金融機関を推奨するものではありません。

計算ロジックそのものが改定されることがある

前提は固定ではありません。金融庁のつみたてシミュレーターには「シミュレーション結果の精緻化のため、令和7年9月に計算ロジックを一部修正しました」と記載されています(金融庁 つみたてシミュレーター、2026年8月時点)。同じページの免責には、いかなる内容も将来の結果を予測し保証するものではないとも書かれています。

公的機関の試算ツールでさえ、計算の中身は見直される前提で運用されている点に留意してください。だから当社は、試算値を一度出して終わりにしない運用を標準にしています。

試算の条件と日付をメモに残しておけば、次に計算し直したとき、金額が変わった原因が自分の条件変更なのかツール側の改定なのかを切り分けられるはずです。

数字が食い違ったら2本目で突き合わせる

1本のツールの結果だけで判断できないときは、前提が明示されている別の1本に同じ条件を入れて差を見ます。差の大きさから、どの前提がずれているかの見当がつきます。

手順は3つです。まず頻度を明記しているSBI証券かSBI新生銀行で基準となる金額を出します。次に、気になっているツールに同じ毎月の積立額・想定利回り・積立期間を入力してください。最後に差額を見て、差が小さければ複利の頻度、大きければ課税や手数料の扱いを疑います。差の大きさは積立額と期間によって変わるため、金額そのものではなく差の出方に注目します。

差が小さければ前提はほぼ揃っていると判断でき、そのまま計画に使って差し支えありません。当社はこの突き合わせを、正しい金額を突き止めるためではなく、自分が使う数字の性格を把握するための作業として位置づけています。どちらが正解かを決める必要はなく、自分の口座と積み方に合うほうを採ればよいからです。

当社の見解・スタンス

当社のABCashは、機能の多いツールから始めることを勧めていません。入力できる項目が増えるほど置くべき前提も増え、家計の実態から離れた数字が出やすくなるためです。運用としては、入力欄が3つのツールで骨格を作り、積立額と期間が固まってから多機能なツールで詰めるという二段構えを標準にしています。

もう一つ、当社は特定の提供元のツールを勧める立場を取りません。金融商品を販売しない教育事業として運営しているため、どのツールを使ってもらっても収益が変わらないからです。だから提供元の知名度ではなく、入力できる項目という機能面だけで比較しています。

累計9万人以上の受講に伴走するなかで当社が確かめてきたのは、試算の精度より先に決めるべきものがあるという点です。家計のどこから積立額を出すかが決まっていなければ、どのツールを開いても入力値は仮置きのままになります。だから当社は、ツール選びの前に家計の黒字額を確定させる順序を崩さずに伴走しています。

よくある質問

初期投資額(元本)も入れて複利で試算できるツールはありますか

あります。2026年8月時点で確認した11本のうち、初期投資額の入力欄を持つのは6本です。三菱UFJアセットマネジメント、アセットマネジメントOne、ウエルスアドバイザー 金融電卓、カシオ 高精度計算サイト、投資信託相談プラザ、マネーフォワード Money Journey が該当します。金融庁のつみたてシミュレーターや楽天証券・SBI証券のツールは毎月の積立だけを扱うため、手元資金を含めた試算はできません。手元資金の分を別に一括で計算して足す方法もありますが、2つの結果を突き合わせる手間がかかります。

ボーナス月の増額を含めて積立シミュレーションできますか

確認した11本のうち、ボーナス時の増額を独立した入力欄として持つのは投資信託相談プラザのつみたて投資 シミュレーションツール1本でした。他のツールを使う場合は、年2回の増額分を12か月にならして毎月の積立額に上乗せする形で代用できます。ただし実際は年2回にまとまって入るため、運用される期間が短くなる分だけ結果はわずかに小さくなります。長期になるほどこのずれは広がるので、正確に見たい場合は増額欄のあるツールを使うほうが確実です。

月利で複利計算したいときはどうすればよいですか

多くのツールは想定利回りを年率で入力する仕様のため、月利で考えたい場合は年率に直して入力します。カシオの高精度計算サイトは複利の頻度を月複利・半年複利・年複利から選べるので、月ごとの組み入れを前提にした計算がそのまま行えます。年率と月ごとの組み入れは別の概念なので、混同しないよう注意してください。年利と月利の換算式や表計算ソフトでの組み方は複利計算 積立 シミュレーションについてはこちらで解説しています。

積み立てたあとの取り崩しまで試算できるツールはありますか

確認した11本のうち4本が取り崩しに対応していました。アセットマネジメントOneは運用後に毎月いくら取り崩せるかを同じページで計算でき、三菱UFJアセットマネジメントと投資信託相談プラザは取り崩し専用のツールを併設しています。ウエルスアドバイザーの金融電卓なら、毎月の受取額と受取期間の逆算も可能です。貯める段階と使う段階を続けて確認すると、目標額そのものが妥当かどうかを判断しやすくなります。

積立シミュレーションの基礎からの総まとめはこちらで、目的別の試算の使い分けを確認できます。

まとめ

複利で積み立てる試算は、どのツールが正しいかではなく、自分が入れたい条件を扱えるかで選びます。実際に開いて確認した11本のうち、手元資金を含められるのは6本、ボーナス月の増額に対応するのは1本、複利の頻度と課税まで指定できるのは1本でした。次にシミュレーターを開くときは、表示された金額より先に注記を確認し、その数字が何を含んでいないかを言葉にしてみてください。含まれていないものがわかっていれば、家族や専門家に相談するときも、自分の計画を根拠のある数字として説明できます。

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