カテゴリー: お金のシミュレーション

  • 100万円の一括投資シミュレーション|試算ツール比較と読み方

    家計が持つ金融資産2,386兆円のうち、47.2%は現金・預金のままです(日本銀行 資金循環統計、2026年3月末速報)。100万円の一括投資は年率5%なら20年後に約265万円という試算になりますが、費用と税は引かれていません。使うツールの選び方から数字の読み方まで整理します。積立シミュレーションの全体像を整理した完全ガイドもあわせてご覧ください。

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    100万円を一括投資すると将来いくらになるのか

    年率1%と7%で100万円の到達額を5年後と30年後で比べ、差が約35万円から約627万円へ拡大することを示した棒グラフ
    年率差の影響は期間が延びるほど拡大する(出典: 当社試算・元本100万円を年1回複利、費用と税は控除せず)

    100万円を一括で投じた場合、年率5%が続いた想定なら20年後は約265万円、30年後は約432万円という試算になります。ただしこれは費用も税金も引かれていない理論値です。年率が3%か5%かという違いだけで、20年後の金額は約85万円ひらきます。

    年率と期間で結果はどこまで動くか

    計算の骨格は、元本に年率をかけた結果へさらに年率をかける作業を年数分くり返すだけです。

    年率 5年後 10年後 20年後 30年後
    1% 1,051,010円 1,104,622円 1,220,190円 1,347,849円
    3% 1,159,274円 1,343,916円 1,806,111円 2,427,262円
    5% 1,276,282円 1,628,895円 2,653,298円 4,321,942円
    7% 1,402,552円 1,967,151円 3,869,684円 7,612,255円

    【試算の前提】元本100万円を一括投入/年1回の複利計算(将来額=1,000,000×(1+年率)の年数乗)/購入時手数料・運用管理費用・税金は控除していない/各年の利回りが一定で推移すると仮定した理論値であり、将来の運用成果を保証するものではありません。

    5年後は年率1%と7%で約35万円しか違いませんが、30年後には約627万円の差になります。置いた年率の差は、時間をかけて拡大していきます。当社はこの表を予測ではなく、前提を変えたときの動き方を見る道具として使っています。

    表示された金額に入っていない3つのもの

    上の表に限らず、シミュレーターが返す金額には共通して入っていないものが3つあります。保有中にかかる費用、売却時にかかる税金、そして値動きの上下です。

    金融庁のつみたてシミュレーターも入力欄は毎月の積立金額・想定利回り・積立期間の3つだけで、費用や税を入れる欄はありません。入力されていない以上、結果に反映されないのは当然です。当社はこの点を、ツールの不備ではなく「ここまでしか計算していません」という計算範囲の宣言として読んでいます。

    だから最初に確かめるべきは金額そのものではなく、その金額に何が含まれていないかです。3つの欠落分は、このあとのセクションで順に足し引きしていきます。

    1年だけを切り取ると判断を誤りやすい

    「1年後にいくらになるか」という区切りは手軽ですが、試算の性質とは噛み合いません。年率5%なら100万円は1年で105万円、増えるのは5万円です。

    一方で、値動きの上下は1年のうちにこの幅を軽く超えます。期待できる増加分より短期の変動幅のほうが大きい区間で判断すると、結果はほぼ運任せになります。当社が試算を10年・20年・30年で並べてお見せするのは、期間が延びるほど計算式が持つ意味が効いてくるからです。

    100万円をいつ使う予定なのかを先に決めておくと、見るべき列が1つに絞れます。

    100万円の試算に使えるシミュレーターを比較する

    公開シミュレーター11種のうち初期投資額5種・取り崩し2種・想定リスク1種しか対応していないことを示した横棒グラフ
    一括の入力欄・取り崩し・変動幅の3点で対応数が急減する(出典: 当社調査・2026年8月時点の公開ツール13種のうち有効11種)

    2026年8月時点で公開されているシミュレーターを11種調べたところ、100万円のような初期投資額を入力できるのは5種だけでした。多くのツールは毎月の積立を前提に設計されています。一括の試算をしたい場合は、まず入力欄の有無で候補を絞ることになります。

    ツール 初期投資額(一括) 想定リスク(変動幅) 取り崩し 前提の開示
    三菱UFJアセットマネジメント 一括投資シミュレーション ○ ○ 別ツールで併設 ○
    三菱UFJアセットマネジメント 投信実績シミュレーション ○ − − ○
    アセットマネジメントOne シミュレーションOne ○ − − 一部
    アセットマネジメントOne 資産運用かんたんシミュレーション ○ − ○ 一部
    ウエルスアドバイザー 金融電卓 ○ − ○ 一部
    金融庁 つみたてシミュレーター − − − ○
    金融庁 ライフプランシミュレーター − − − ○
    厚生労働省 公的年金シミュレーター 対象外 − 受取額を試算 ○
    野村證券 みらい電卓 積立編 − − − 一部
    野村アセットマネジメント 将来シミュレーション − − − 一部
    投信アシスト つみたて&分散シミュレーション − − − 一部

    【調査方法】対象: 検索結果および検索サジェスト経由で到達できる公開シミュレーションツール13種/N数: 13種(うち有効11種。1種はアクセス不能、1種は個別ツールへの導線ページ)/期間: 2026年8月時点/集計方法: 各ツールの公開ページを開き、入力欄のラベルとフォーム要素を抽出して初期投資額・想定リスク・取り崩しの有無を判定/データ出典: 各ツールの公開ページ

    初期投資額の欄があるかで使えるツールが決まる

    11種のうち初期投資額を入力できたのは5種で、公的機関が提供する3種はいずれも一括の入力に対応していませんでした。 金融庁のつみたてシミュレーターは名前のとおり積立専用で、入力欄は3項目しかありません。

    これは公的機関の姿勢が現れた結果だと当社は見ています。金融庁は積立投資を「一括で投資するのではなく『あらかじめ決まった金額』を『続けて』投資すること」と定義しています(金融庁 資産形成の基本、2026年8月時点)。定義の中に「一括で投資するのではなく」という対比が置かれている以上、公的ツールが積立を標準形として作られているのは筋が通っています。

    つまり一括の試算は、標準装備ではありません。ツールを開いて初期投資額の欄を探し、無ければ別のツールに移ります。この確認を先に済ませておくと、後から数字を入れ直す手間が省けます。投資シミュレーション全般の使い分けは投資シミュレーションの選び方で整理しています。

    前提が開示されている公的機関のツール

    一括に対応していないからといって、公的機関のツールが使えないわけではありません。何を根拠に計算しているかが全面的に開示されている点は、他の類型にはない強みです。

    金融庁のライフプランシミュレーターは「本シミュレーションの前提条件」を独立した見出しで掲げ、収入や生活費をどの統計から算出しているかまで公開しています。厚生労働省の公的年金シミュレーターも、生年月日と働き方、期間ごとの平均年収を入れるだけで受取額の目安が出ます。

    当社は、前提が読める試算とそうでない試算は別物だと考えています。100万円を投じるかどうかは家計全体の中の判断ですから、家計側の見取り図を公的ツールで作り、金額の試算は一括対応のツールで行います。この分業が現実的です。

    変動幅まで置ける運用会社のツール

    11種のうち想定リスク(値動きの幅)を入力できたのは1種だけでした。三菱UFJアセットマネジメントの一括投資シミュレーションで、想定リターンとは別に想定リスクを年率で置けます。

    この欄があると、結果が1本の線ではなく上下の幅で表示されます。同じ「100万円を20年」でも、変動幅を織り込んだ試算では到達点が範囲になり、うまくいかなかった場合の姿が先に見えます。同ツールは想定リターンどおりに運用できた場合に加え、想定リスクを加味して5,000回の試算を行い、成績が良かった例と悪かった例を併記すると明記しています。

    金額を実際に決める段階では、この幅まで確かめておくべきだと当社は考えています。1本の線だけを見て100万円を投じると、下振れした年に想定との差が大きく見え、売却の判断に傾きやすくなるためです。

    取り崩しまで通しで置ける多機能型

    貯めたあとに使う側まで試算できたのは2種でした。ウエルスアドバイザーの金融電卓は8つの計算モードを持ち、毎月の受取額や受取期間、毎月の取り崩し額まで扱えます。アセットマネジメントOneの資産運用かんたんシミュレーションにも利用年数の入力があります。

    モードの多さそのものが精度を意味するわけではありません。ただ、入口の100万円と出口の取り崩しを同じツールで続けて置けると、「20年後に265万円あるとして、それを何年でどう使うのか」まで一度に確認できます。入口だけを試算しても、その金額が足りているかどうかは判定できません。

    要点: 一括の試算では、①初期投資額の欄があるか ②変動幅を置けるか ③取り崩しまで扱えるか の3点でツールを絞り込みます。前提が開示された公的ツールで家計全体を確認してから、金額の試算に移ると順序が崩れません。

    試算に入れる100万円を家計から決め直す

    生活防衛資金を引いて投じる額を決める3ステップと、一括と12分割で20年後の差が58,419円にとどまることを示した図
    投じ方より先に金額を決める順序を示した図(出典: 当社試算・年率5%、費用と税は控除せず)

    投じてよい額は、手元にある100万円そのものではなく、生活防衛資金を差し引いた残りです。金融庁も家計管理の基本を「収支を黒字にすること、そして黒字分を貯蓄すること」と示しています(金融庁 資産形成の基本、2026年8月時点)。金額を先に決めてから家計を合わせる順序では、続きません。

    家計の47.2%が現金・預金という前提

    日本銀行の資金循環統計によると、2026年3月末時点で家計の金融資産は2,386兆円、そのうち現金・預金が1,126兆円で構成比47.2%を占めます。一方、投資信託は165兆円、株式等は398兆円で、前年比はそれぞれ25.7%増・28.6%増と大きく伸びています(日本銀行 資金循環統計 参考図表、2026年6月25日公表)。

    当社はこの構図を、投資に反対する人が半数近くいるという話ではなく、置き場を決めきれていない資金が半分近く残っている状態だと読んでいます。動いている資金は前年比で二桁の伸びを見せているのに、預金の伸びは0.6%にとどまっています。同じ家計の中で、動く分と動かない分がはっきり分かれています。

    手元の100万円がその「決めきれていない側」にあるなら、必要なのは商品を選ぶことではなく、いくらまでなら動かしてよいかの線を引くことです。

    生活防衛資金を引いた残りが投じてよい額

    線の引き方は単純で、生活費の何か月分を手元に残すかを先に決め、その分を100万円から差し引きます。残った額が試算に入れる金額です。ボーナスを当てにした金額や、節約を頑張れば出せる金額は使いません。

    当社では家計の収支を先に確定させてから投じる額を決める順序を、家計管理からNISA・投資信託までを一気通貫で扱うカリキュラムの中で運用しています。「余裕資金で投資する」という一般論は、余裕資金の定義を各自の解釈に委ねてしまう点が弱いためです。いくらまでなら数年間動かさずに置けるのかを、金額で言い切れる状態にしてから試算に入ります。

    なお、お金の学び方を無料で提供する場も増えていますが、仕組みを理解したうえで選ぶ必要があります。無料マネーセミナーの仕組みで扱っています。個別の資産設計については、有資格のファイナンシャルプランナーや金融機関にご相談ください。

    一括と12分割で結果はどれだけ違うか

    100万円を一度に入れるか、12か月に分けて入れるかで結果がどれだけ変わるのかは、条件を揃えれば計算できます。年率5%が続く前提で比べると次のようになります。

    起算からの経過 一括100万円 12分割(毎月約8.3万円) 差額
    10年後 1,628,895円 1,593,030円 35,864円
    20年後 2,653,298円 2,594,878円 58,419円

    【試算の前提】年率5%(月次換算)/分割分は各月の投入以降のみ運用されると仮定/費用・税は控除していない/将来の運用成果を保証するものではありません。

    同じ年率が続く前提では一括が有利ですが、20年で約5.8万円、元本の6%弱にとどまります。当社はこの差額を、投じ方を数学だけで決める理由にはならない水準だと見ています。下落直後の含み損に耐えられず途中で売却してしまえば、5.8万円どころの話ではなくなるからです。差が小さいのであれば、精神的に続けられる側を選んで構いません。

    \ 試算値を家計に戻す /

    金融商品を販売しない立場から、置いた前提が妥当かを率直にお伝えします。

    表示された金額から費用と税金を差し引いて読む

    保有コスト0.00%・0.10%・1.00%で20年後の金額が412,090円ひらくことと、課税口座の税額335,867円を並べた棒グラフ
    表示額から保有コストと税を引いた姿を並べた図(出典: 当社試算、税率は国税庁 No.1476)

    シミュレーターが表示する金額は、保有中の費用も売却時の税金も差し引く前の理論値です。保有コストが年0.1%か1.0%かで20年後は約41万円変わり、課税口座なら利益に20.315%がかかります(国税庁 No.1476 特定口座制度、令和7年4月1日現在法令等)。

    保有コストは20年で40万円以上の差になる

    投資信託を持っている間は、運用管理費用が資産から年率で差し引かれ続けます。想定利回りにこの分は含まれていないため、画面の金額はその分だけ上振れしています。

    保有コスト(年率) 実質年率 20年後 30年後
    0.00% 5.00% 2,653,298円 4,321,942円
    0.10% 4.90% 2,603,213円 4,200,149円
    0.50% 4.50% 2,411,714円 3,745,318円
    1.00% 4.00% 2,191,123円 3,243,398円
    1.50% 3.50% 1,989,789円 2,806,794円

    【試算の前提】元本100万円・想定リターン年5%から保有コストを年率で控除/年1回の複利計算/税金は控除していない/将来の運用成果を保証するものではありません。

    コスト0.1%と1.0%の差は、年率にすれば0.9ポイントにすぎません。それでも20年後には412,090円、30年後には956,751円の差になります。試算の後は目論見書で運用管理費用を確認し、その年率分を引いた数字でもう一度回してみてください。

    課税口座なら利益に20.315%がかかる

    もう1つ引くのが税金です。課税口座で源泉徴収を選んだ場合、譲渡益に15.315%(他に住民税5%)が課されます。合計20.315%を差し引くと、100万円の一括投資はこう見えます。

    期間 評価額 利益 税額(20.315%) 税引後の手取り
    20年 2,653,298円 1,653,298円 335,867円 2,317,430円
    30年 4,321,942円 3,321,942円 674,853円 3,647,090円

    【試算の前提】年率5%・年1回の複利計算/売却時に利益へ一括課税されると仮定/保有コストは控除していない/税率の出典は国税庁 No.1476(令和7年4月1日現在法令等)。

    NISA口座であればこの税額は生じません。当社はこの税率を、NISAを使う理由の説明としてではなく、課税口座の前提で試算したなら一度引き直す必要があるという合図として扱っています。20年で約34万円、30年で約67万円という金額は、口座の選び方だけで動く部分だからです。

    手取りに近づけた100万円の姿

    2つを重ねると、100万円の輪郭がはっきりします。年率5%・20年で表示額は約265万円ですが、保有コストを年1.0%見込むと約219万円、さらに課税口座なら利益部分に20.315%がかかります。

    つまり同じ「20年後265万円」という表示から、条件次第で40万円以上が消えることになります。見るべきは金額の大小よりも、どの条件でその数字が出ているのかを自分の言葉で説明できるかどうかです。当社は金融商品を販売しない教育事業なので、置いた前提が楽観的すぎる場合はそのまま指摘できます。

    要点: 手取りに近い金額は「表示額 −(購入時手数料+運用管理費用等)− 課税口座なら利益への20.315%」で見積もれます。影響が長く続くのは保有コストのほうです。

    下落した場合の金額まで置いて読む

    一括投資は、投じた直後の値下がりを資産の全額でそのまま受けることになる入れ方です。100万円が30%下がれば70万円になり、その後に年率5%で回復すると仮定しても、元本に戻るまで約7.3年かかる計算になります。この年数を先に置けるかどうかが、一括を選べるかの分かれ目です。

    一括は投じた直後の下落を最も強く受ける

    積立であれば、下落局面で買う分は安く買えます。一括の場合、投じた翌日から全額が値動きにさらされるため、この緩衝がありません。

    「購入タイミングにこだわりすぎない」という助言そのものは、長期で見れば妥当です。ただ当社は、この助言だけでは下落局面で売却してしまう人を止められないと考えています。抽象的な安心は、含み損の金額を目の前にしたときに効きません。効くのは、下がった場合の金額と、そこから戻るまでの年数という具体です。

    そこで当社は、投じる前に下落シナリオを試算段階で置くようご案内しています。

    下落率別に見た元本回復までの年数

    100万円を投じた直後に下落した場合、元本に戻るまでどれくらいかかるのかを下落率別に計算すると次のようになります。

    下落率 下落直後の評価額 元本100万円への回復に要する年数
    −10% 900,000円 約2.2年
    −20% 800,000円 約4.6年
    −30% 700,000円 約7.3年
    −40% 600,000円 約10.5年

    【試算の前提】下落直後から年率5%で回復し続けると仮定(必要年数=log(1÷(1−下落率))÷log(1.05))/費用・税は控除していない/回復の時期を保証するものではありません。

    読み方は2通りあります。1つは、40%下げても10年程度で元本に戻る計算になるという見方。もう1つは、その10年を売らずに持ち続けられるかが問われるという見方です。当社が重く見ているのは後者で、100万円を使う予定が5年後にあるなら、この表の下半分は現実的な選択肢になりません。

    当社の見解・スタンス

    当社のABCashは、一括投資の試算を下から先に見る順序で使っています。一般には上振れした場合の金額を見て判断しますが、当社は下落率別の回復年数を先に置き、その年数を待てる資金かどうかを確認してから投じる額を決めます。上振れの金額は判断を後押ししますが、投資を続けられるかどうかを決めるのは下振れの側だからです。

    もうひとつ、当社は試算を1回きりのイベントにしません。専用アプリで毎日フィードバックを返し、決めた方針を実際に守れているかまで確認します。累計9万人以上が受講した伴走型のカリキュラムで当社が重く見ているのは、想定利回りの小数点以下ではなく、下がった局面で当初の判断を維持できるかどうかです。

    家計管理から投資信託までを一気通貫で扱っているため、投じる額の決定と下落時の対応を同じ場で設計できます。金融商品の販売を収益源にしていないため、特定の商品を売る都合で試算の前提を動かすこともありません。

    よくある質問

    100万円を一括投資すると1年後にはいくらになりますか

    年率5%の想定なら1年後は約105万円で、増えるのは5万円です。ただし1年という期間は値動きの上下が期待収益を上回りやすい区間にあたるため、この数字は判断材料としては弱くなります。1年後の金額を知りたい場合でも、10年・20年の列と並べて見ることをおすすめします。費用と税を引く前の理論値である点も変わりません。

    一括投資と積立投資では、同じ100万円でもどちらが増えますか

    年率が一定で推移する前提の計算では一括が有利です。100万円を一括で投じた場合と12か月に分けた場合を年率5%で比べると、20年後の差は58,419円で、元本の6%弱にとどまります。差が小さいため、下落直後の含み損に耐えられるかという実際の続けやすさで選んで差し支えありません。

    シミュレーションの結果に信託報酬や税金は含まれていますか

    含まれていません。運用管理費用(信託報酬)は保有中に資産から間接的に差し引かれる費用で、想定利回りの入力値とは別枠です。税金も、課税口座では譲渡益に15.315%(他に住民税5%)が課されます(国税庁 タックスアンサー No.1476、令和7年4月1日現在法令等)。目論見書に記載された年率分を想定利回りから引いて試算し直すと、手取りに近い金額になります。

    100万円を一括投資した直後に暴落したらどうなりますか

    投じた全額が値動きにさらされるため、下落率がそのまま評価額に反映されます。30%下落すれば70万円となり、その後に年率5%で回復すると仮定した場合、元本に戻るまで約7.3年かかる計算です。この年数を待てる資金かどうかを、投じる前に確認しておく必要があります。回復の時期を保証するものではない点にはご留意ください。

    手元の100万円を全額投資に回してもよいですか

    生活費の数か月分を生活防衛資金として手元に残し、その残りを投じる額とするのが基本です。金融庁も家計管理の基本を「収支を黒字にすること、そして黒字分を貯蓄すること」と示しています(金融庁「資産形成の基本」、2026年8月時点)。数年以内に使う予定のあるお金は、下落からの回復期間を待てないため試算から除きます。

    積立シミュレーションの全体ガイドでは、他のシミュレーションとの使い分けも整理しています。

    まとめ

    初期投資額を入力できるツールを選び、家計から投じる額を決め、費用と税を引き、下落した場合の年数まで置きます。この4段階を踏むと、100万円の一括投資は「なんとなく265万円」ではなく、条件つきで説明できる数字に変わります。判断を支えるのは上振れの金額ではなく、下振れしたときに何年待てるかという見通しです。数字に振り回される側から、数字を使って決める側に立てます。

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  • 投資シミュレーションの選び方と無料ツール10選を比較

    投資シミュレーションは、入口の積立試算・途中の下落体験・出口の取り崩しという3つの目的で選び分けるのが最短です。無料ツールは10本以上あり、複利の計算頻度や税・手数料の扱いが違うため、同じ条件を入れても最終金額はそろいません。本記事では10本のツールを比較し、当社が同一条件で試した結果の差と、数字を毎月の行動に落とす手順までを扱います。

    \ お金の疑問をまとめて相談 /

    試算した数字の使い道を、専属コンサルタントと一緒に決められます。

    投資シミュレーションの選び方は目的を3つに分けると決まる

    入口は金融庁やSBI証券、途中は三菱UFJアセットマネジメントとJ-FLEC、出口は三井住友DSアセットマネジメントへと振り分ける目的別の判定フロー図
    知りたいことを1問選ぶと、開くべきツールが決まる(出典: 各公式ツールの機能を2026年8月時点で確認し当社作成)

    ツール選びは、機能の多さではなく「いま知りたいのが入口・途中・出口のどれか」で決まります。積立額から将来額を出すのが入口、値動きの幅を確かめるのが途中、貯めた資産を使うときの金額を出すのが出口です。3つを1本のツールで完結させようとすると、対応していない項目が出てきます。

    投資シミュレーションが何を計算しているのかという仕組みそのものは、積立シミュレーションの全体像を整理した完全ガイドで扱っています。ここではツールを選ぶ側の視点、つまり「どの目的の試算を、どこでやるか」に絞って整理します。

    目的別の3分類と対応ツールの対応関係

    目的 知りたいこと 主に使うツールの型 本記事での該当ツール
    ①入口(積立・一括) 毎月いくら積み立てると、何年後にいくらになるか 積立試算型・逆算型 金融庁/SBI証券/楽天証券/野村證券/Yahoo!ファイナンス
    ②途中(値動き・下落) 想定どおりに増えなかった場合、金額はどこまで振れるか リスク入力型・実データ体験型 三菱UFJアセットマネジメント/J-FLEC
    ③出口(取り崩し) 貯めた資産から毎月いくら使えて、何年もつか 取り崩し試算型 三井住友DSアセットマネジメント/ウエルスアドバイザー/アセットマネジメントOne

    ※分類は各公式ツールの機能を2026年8月時点で確認し、当社が指導で使う順番(入口→途中→出口)に沿って整理したものです。

    入口を試算する:積立と一括で将来額を出す

    入口の試算は、毎月の積立額・期間・想定利回りの3項目があれば動きます。無料ツールの多くはこの型で、金融庁のつみたてシミュレーターも入力は3項目だけです。

    入口で押さえておきたいのは、「将来いくらになるか」だけでなく「毎月いくら必要か」「何年かかるか」の逆算ができるかどうかです。目標額が先に決まっている場合、将来額を出す計算だけでは何度も入力し直すことになります。金融庁のツールは3タブでこの3方向に対応し、ウエルスアドバイザーの金融電卓はさらに細かく8種類の計算を用意しています。

    当社が受講者と一緒に試算するときも、最初に置くのは目標額です。「20年後にいくら」が決まっていれば、逆算型のツールで毎月の積立額が1回で出るため、家計の見直しにそのまま接続できます。

    途中を体験する:値動きと下落を織り込む

    途中の試算とは、想定利回りどおりに一直線で増えない場合の振れ幅を確かめる作業です。入口の試算は利回りを一定と置くため、グラフは右肩上がりの滑らかな線になります。

    値動きの幅を入力できるツールは限られており、三菱UFJアセットマネジメントの一括投資シミュレーションは想定リターンに加えて想定リスク(年率)を入力できる数少ない例です。もう1つの方法が、過去の実際の相場データで運用を体験する型で、公的機関である金融経済教育推進機構(J-FLEC)が提供しています。

    途中を飛ばした試算は、下落局面で積立をやめてしまう判断につながりやすくなります。入口の金額に納得したら、そのまま次のステップへ進む前に、振れ幅を一度見ておくことをおすすめします。

    出口を試算する:取り崩しの金額と年数を出す

    出口の試算は、貯めた資産を使い始めてからの金額を出す計算です。入力するのは資産額・取り崩し方法・運用利回り・開始年齢などで、入口とは項目そのものが変わります。

    出口に対応したツールは、今回比較した12本の中では少数です。三井住友DSアセットマネジメントのツールは定額取り崩しと定率取り崩しを並べて比較でき、アセットマネジメントOneは利用年数から毎月の取り崩し可能額を出せます。ウエルスアドバイザーの金融電卓にも「資産を取り崩す」系統があり、毎月の受取額と受取期間の両方向から計算できます。

    出口の数字は、老後の生活費の目安づくりに直結します。入口だけを何度も試算するより、出口を1回確認したほうが、毎月の積立額をいくらにするかの判断は早く固まります。

    無料で使える投資シミュレーションツール10選

    値動き幅の入力と出口対応の2軸に各ツールを配置し、両方に対応するのは三菱UFJアセットマネジメント1本だけであることを示すポジショニングマップ
    入口専用が最多で、値動きと出口の両対応は1本のみという分布(出典: 各公式ツールのページを確認・2026年8月4日当社調べ)

    無料で使える投資シミュレーションは、提供主体によって入力項目と対応範囲が変わります。公的機関は入力項目が最小で中立、運用会社はリスク入力や取り崩しまでカバーし、金融機関やメディアは口座開設や商品情報への導線とセットになっています。ここでは2026年8月時点で無料公開されている10本を個別に解説し、比較表には参考として2本を加えた12本を並べます。

    投資シミュレーションツールの機能比較(個別解説10本+参考2本・2026年8月時点・当社調べ)

    ツール 提供主体 主な入力項目 値動き幅の入力 出口(取り崩し) 逆算計算
    つみたてシミュレーター 金融庁 積立額/利回り/期間 × × ○
    積立シミュレーション SBI証券 積立額/期間/利回り × × △
    積立かんたんシミュレーション 楽天証券 積立額/期間/リターン × × ○
    みらい電卓 野村證券 元本/利回り/期間 × △ ○
    シミュレーション・ツール 三菱UFJアセットマネジメント 初期投資額/期間/リターン/リスク ○ ○ △
    金融電卓 ウエルスアドバイザー 期間/初期投資額/毎月投資額/利回り × ○ ◎
    資産運用かんたんシミュレーション アセットマネジメントOne 利回り/初期投資額/積立額/期間/利用年数 × ○ ○
    積立投資シミュレーション Yahoo!ファイナンス 初期投資額/積立額/期間/利回り × × ○
    資産形成タイムトラベル J-FLEC 開始年/運用期間/資産の組み合わせ ◎ × ×
    人生100年時代の資産設計 三井住友DSアセットマネジメント 年齢/資産額/利回り/取崩し方法 × ◎ ×
    投資積立・取り崩しシミュレーション(参考) セゾン投信 積立/取り崩し × ○ △
    つみたてシミュレーション(参考) イオン銀行 つみたて条件(制度別) × × ○

    データ出典: 各公式ツールのページを1本ずつ開き、入力フォームと注記を確認(2026年8月4日・当社調べ)。「値動き幅の入力」「出口対応」は当社が比較軸として設定した評価項目です。

    この表の読み方:入口だけなら上の4本で足ります。値動きと出口まで確認するなら、三菱UFJアセットマネジメント・J-FLEC・三井住友DSアセットマネジメントのいずれかを組み合わせる必要があります。下2行のセゾン投信とイオン銀行は、個別解説の10本には含めていない参考枠です。

    ①金融庁 つみたてシミュレーター

    金融庁が公開している公的ツールで、毎月の積立金額・想定利回り・積立期間の3項目だけで将来の運用資産額が出ます。「将来いくらになる?」「毎月いくら積み立てる?」「何年間積み立てる?」の3タブがあり、逆算にも対応しています。

    特筆すべきは更新体制です。金融庁 つみたてシミュレーターのページには、シミュレーション結果の精緻化のため令和7年9月に計算ロジックを一部修正した旨が明記されています。数年前に試算した記憶のまま話を進めると、現在の表示と食い違う可能性があります。

    当社は、まず触れる1本目としてこのツールを案内しています。金融商品への導線がなく、入力項目が少ないため、利回りをいくつに置くかという最も迷いやすい論点だけに集中できるためです。

    ②SBI証券 積立シミュレーション

    毎月積立額・積立期間・利回りをスライダーで動かすと、最終積立金額と年次グラフが即座に切り替わります。積立元本と増えた額が分けて表示されるため、「元本がいくらで、増えた分がいくらか」を取り違えにくい構成です。

    このツールの価値は注記にあります。SBI証券 積立シミュレーションのページ下部には、2026年8月時点で1ヵ月に1回再投資した複利で計算している旨と、税金・手数料・費用等を考慮していない旨が示されています。複利の計算頻度まで書いているツールは、今回の12本ではSBI証券とYahoo!ファイナンスの2本だけでした。他のツールと結果を突き合わせるときの基準として使えます。

    グラフの動きが速いので、利回りを1%ずつ変えたときに最終額がどれだけ動くかを体感する用途にも向いています。

    ③楽天証券 積立かんたんシミュレーション

    毎月積立額・積立期間・リターンの3項目から最終積立金額を出すツールで、毎月積立額・期間・利回りのいずれか1つを逆算する3パターンに対応しています。目標額から逆算したい場合に扱いやすい構成です。

    ページの大半は投資信託のリスクと費用に関する注記で占められており、試算部分は上部にまとまっています。投資信託の費用構造(購入時・保有期間中・換金時に分かれる)を同じページで確認できる点は、コストを織り込んで考えたいときに役立ちます。

    当社は、試算結果をそのまま商品選びに直結させないよう案内しています。今回確認した金融機関系のツールは口座開設への導線とセットになっているため、試算と商品選びは別の判断として分けることを最初に伝えています。

    ④野村證券 みらい電卓

    運用編・積立編・生活編の3編に分かれており、運用編では「いくらになる?」「いくら必要?」「目標まで何年かかる?」の3方向を計算できます。運用期間は1年から50年まで選べます。

    このツールの特徴は結果の見せ方です。計算後に年次の元本・運用収益・合計をテーブルで表示するため、グラフだけのツールでは分からない「10年目時点でいくらか」という中間地点の金額を数字で確認できます。積立を途中でやめる可能性を考えるときに、この中間地点の情報が判断材料になります。

    生活編まで含めると、貯めるだけでなく使う場面の試算にも部分的に対応しています。

    ⑤三菱UFJアセットマネジメント シミュレーション・ツール

    つみたて投資・一括投資・取り崩し・投信実績・ファンド比較の5機能が1つのサイトにまとまっており、入口から出口までを同じ操作感で通せる数少ない構成です。

    一括投資シミュレーションでは、初期投資額・投資期間・想定リターンに加えて想定リスク(年率)を入力できます。入力の上限は想定リターンが20.00%、想定リスクが45.00%と公式に設定されており、純資産総額の上位50ファンドのリターン・リスクから参考値を選ぶこともできます。利回りを一定と置く他のツールでは見えない振れ幅を、数字で確認できる点が他にない強みです。

    まとまった資金を一度に投じる場合の考え方は、100万円 一括投資シミュレーションについてはこちらで詳しく扱っています。

    ⑥ウエルスアドバイザー 金融電卓

    「貯める・増やす」と「資産を取り崩す」の2系統に分かれ、将来の運用総額・運用期間・必要な利回り・毎月の投資額・毎月の受取額・受取期間・利回り・必要な金額の8種類を計算できます。逆算パターンの多さでは、比較表に並べた12本の中で最多です。

    初期投資額と毎月の投資額を同時に入れられるため、「手元のまとまった資金を入れつつ毎月も積み立てる」という実際の運用に近い条件を1画面で試せます。運用期間は最大80年、初期投資額は最大5億円まで対応しており、入力の自由度も高い設計です。

    入力欄がスライダー中心のため、細かい数値を正確に入れるには少し操作が必要です。おおまかな感覚をつかむ段階を過ぎて、条件を細かく振って比べたい段階の人に向いています。

    ⑦アセットマネジメントOne 資産運用かんたんシミュレーション

    将来の運用資産額・毎月の積立金額・積立期間・初期投資額の4種類を計算でき、それぞれの計算画面に利用年数から毎月の取り崩し可能額を出す機能が併設されています。積立の試算をした流れで、そのまま出口の金額まで確認できる構成です。

    取り崩しの前提は「毎月均等に一定額を取り崩す」と公式に明記されています。前提が書かれているため、定率で取り崩す場合との違いを理解したうえで数字を受け取れます。

    入口と出口を同じ画面で往復できるツールは限られており、積立額を決める段階で老後の生活費の目安まで一度に確認したい場合に効率が良い1本です。

    ⑧Yahoo!ファイナンス 積立投資シミュレーション

    初期投資額・毎月積立額・積立期間・利回りの4項目から、最終金額・利回り・毎月積立額・積立期間の4方向を計算できます。利回りの入力範囲は1.00%から20.00%、積立期間は1年から50年です。

    このツールも計算の前提を公開しています。注意事項には年一回の複利計算をしている旨と、手数料や税金などを考慮していない旨が明記されています。月1回で複利を回すツールと比べると同じ条件でも結果が小さく出るため、複数ツールを使い比べるときに押さえておきたい情報です。

    証券会社ランキングが同じページに並ぶ設計のため、試算のあとで比較検討へ流れやすい構成になっています。数字を確認する段階と口座を選ぶ段階は分けて考えると、判断が混ざりません。

    ⑨J-FLEC 資産形成タイムトラベル

    金融経済教育推進機構(J-FLEC)が公開している体験型のツールで、開始年(2000年〜)と運用期間、資産の組み合わせを選ぶと、過去の実際の相場データで運用結果をたどれます。データはモーニングスター・ジャパンおよび日本銀行から提供されています。

    一定利回りの試算では、途中の下落は数字に現れません。このツールは実際の値動きを使うため、同じ期間でも開始年が違えば結果が変わることを、自分の操作で確認できます。J-FLEC 資産形成タイムトラベルの利用規約にも、過去の実績は将来の結果を予想または保証するものではない旨が明記されています。

    当社は、入口の試算に納得した受講者にこのツールを案内しています。下落を先に経験しておくことが、相場が動いたときに積立をやめない判断につながると考えているためです。

    ⑩三井住友DSアセットマネジメント 人生100年時代の資産設計シミュレーション

    出口専用のツールで、取り崩しを始める年齢・金融資産額・運用利回り・取り崩し方法を入力すると、資産残高の推移が表示されます。最大の特徴は、定額(隔月)と定率(年率)の2つの取り崩し方法を並べて比較できる点です。

    公式ページでは、定率は隔月で資産残高を一定の割合で取り崩す方法であり、資産残高の減少に従って取崩金額が小さくなるため資産の寿命を延ばせると説明されています。同じ資産額でも、取り崩し方を変えるだけで使える年数が変わることを1画面で確認できます。

    積立の試算だけを繰り返している段階では、この違いは視野に入りません。出口の選択肢が2つあると分かるだけでも、毎月の積立額を決める基準は変わります。

    同じ条件を入れても最終金額がそろわない3つの理由

    毎月3万円・20年・年3%の同一条件でSBI証券983万円、金融庁981万円、Yahoo!ファイナンス967万円と約16万円の幅が出たことを示す実測比較チャート
    同一条件でも約16万円の幅が出る。差の正体は複利頻度・税や手数料の非考慮・利回り一定の3前提(出典: 各公式ツールに同条件を入力し当社が実測・2026年8月4日)

    同じ条件を入れても最終金額がそろわないのは、ツールごとに置いている計算の前提が違うためです。当社が毎月3万円・20年・年3%の同一条件で3本のツールに入力したところ、結果は967万円から983万円まで約16万円の幅が出ました。差の原因は精度の優劣ではなく、複利の計算頻度・税や手数料の扱い・利回りを一定と置く前提の3点にあります。

    同一条件での実測比較(毎月3万円・積立20年・想定利回り年3%・初期投資0円)

    ツール 表示された最終金額 内訳の表示 公開されている計算の前提
    金融庁 つみたてシミュレーター 981万円 総額のみ 令和7年9月に計算ロジックを一部修正
    SBI証券 積立シミュレーション 983万円 元本720万円+増えた額約263万円 1ヵ月に1回再投資した複利/税・手数料は非考慮
    Yahoo!ファイナンス 積立投資シミュレーション 967万円 積立金額720万円+運用収益247万円 年1回の複利計算/手数料・税金は非考慮

    調査方法:対象は上記3ツール。条件は毎月3万円・積立期間20年・想定利回り年3%・初期投資額0円で統一。2026年8月4日に各公式ツールへ同条件を入力し、画面に表示された最終金額をそのまま記録しました。データ出典は各公式ページです。

    理由1 複利を月1回で回すか年1回で回すかが違う

    最も大きな差の要因は、複利をどの頻度で計算しているかです。SBI証券は1ヵ月に1回再投資する前提、Yahoo!ファイナンスは年1回の複利計算と、それぞれ公式に明記しています。

    同じ年3%でも、月1回で回すほうが運用益が乗る回数が多くなるため、20年後の金額は大きく出ます。今回の実測では、この違いが元本720万円に対して16万円ほどの差として現れました。複利計算そのものの仕組みは積立の複利計算シミュレーションで扱っているため、ここでは「ツールによって前提が違う」という事実に絞ります。

    当社は、この差を「どちらが正しいか」ではなく幅として受け取るよう案内しています。ツールを1本に絞って小数点まで詰めるより、2本で試して幅を把握するほうが、判断を誤りにくくなります。

    理由2 税金と手数料が計算に含まれていない

    無料ツールの多くは、税金・手数料・信託報酬を計算に含めていません。SBI証券は「税金、手数料、費用等を考慮しておりません」、Yahoo!ファイナンスは「手数料や税金などは考慮しておりません」と、それぞれ注記で明示しています。

    つまり画面に出た金額は、コストを引く前の数字です。NISA口座を使う場合は運用益への課税がありませんが、投資信託の信託報酬は保有期間中ずっとかかります。試算結果は上限に近い目安として扱うのが安全です。

    当社は、コストの影響を数字で確かめたい場合、想定利回りを実際より少し低く置いて再計算する方法を案内しています。信託報酬の分だけ利回りを下げて入れ直せば、コスト込みの姿に近い金額を同じツールで確認できます。

    理由3 利回りを一定と置いている

    3つ目の理由は、大半の入口ツールが「毎年同じ利回りで増える」と置いていることです。実際の運用では上がる年と下がる年があり、平均が同じでも順序が違えば最終額は変わります。

    この前提は各ツールの免責にも表れています。金融庁のツールには、いかなる内容も将来の結果を予測し保証するものではない旨が明記されています。J-FLECの体験ツールの利用規約にも、過去の実績は将来の結果を予想または保証するものではないという断り書きがあります。

    一定利回りの試算は、方向性をつかむには十分です。ただしその1本の線をゴールとして家計を組むと、下落局面で計画が崩れやすくなります。だからこそ、次の章で扱う値動きと出口の確認が必要になります。

    ここまでの要点:ツール間の差は前提の違いであり、どれかが間違っているわけではありません。数字は1点ではなく幅で受け取り、コストの分だけ低めに見ておくのが実用的です。

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    想定利回りや積立額の置き方を、あなたの家計に合わせて確認できます。

    試算のあとに確認したい下落局面と取り崩し

    入口の試算が終わったら、値動きの幅と取り崩しの2点を別のツールで確認します。この2点は入口ツールの入力項目に存在しないため、同じ画面で待っていても出てきません。確認の順番は、値動き(途中)を見てから取り崩し(出口)に進むと、金額の感覚がつながります。

    値動きの幅を入力する・過去の実データで体験する

    値動きを織り込む方法は2つあります。1つは想定リスクを数値で入れる方法で、三菱UFJアセットマネジメントの一括投資シミュレーションが対応しています。想定リターンと想定リスクを両方入れると、一定利回りの1本線ではなく、振れ幅を含んだ資産額の見通しが得られます。

    もう1つが、過去の実際の相場データで運用を体験する方法です。J-FLECの資産形成タイムトラベルは2000年以降の任意の年を開始年に選べるため、同じ期間・同じ資産でも開始年が違えば結果が変わることを操作しながら確認できます。データ提供元はモーニングスター・ジャパンと日本銀行です。

    どちらの方法でも、増える金額の予想が当たるようになるわけではありません。目的は、下落したときに「想定の範囲内かどうか」を自分で判断できる状態をつくることです。当社はこの確認を、積立を始める前ではなく、積立額を決めた直後に置くよう案内しています。金額が具体的になったあとのほうが、振れ幅の意味を実感として受け取りやすいためです。

    取り崩しは定額と定率で資産の寿命が変わる

    出口の試算では、取り崩し方法の選択が結果を大きく左右します。三井住友DSアセットマネジメントのツールでは、定額(隔月)と定率(年率)を並べて比較でき、同じ資産額でも資産が何歳まで残るかが変わることを確認できます。

    公式ページの説明によれば、定率は資産残高に対して一定の割合で取り崩すため、残高が減るにつれて取崩金額も小さくなり、その分だけ資産の寿命が延びます。定額は毎回同じ金額を受け取れる代わりに、残高の減少ペースが速くなります。どちらが優れているかではなく、生活費の下限をどこに置くかで選ぶ問題です。

    毎月いくら使えるかという形で確認したい場合は、アセットマネジメントOneのツールが利用年数から取り崩し可能額を出せます。ウエルスアドバイザーの金融電卓では、毎月の受取額と受取期間の両方向から計算できます。出口の金額が見えると、入口の積立額を上げるべきか、期間を延ばすべきかの判断がはっきりします。なお個別の資産設計については、有資格のファイナンシャルプランナーや取引先の金融機関へ相談してください。

    ここまでの要点:値動きと取り崩しは、入口ツールでは扱えません。積立額を決めた直後に、この2点を別のツールで1回ずつ確認しておくと計画が崩れにくくなります。

    試算結果を毎月の行動に落とす3ステップ

    幅の下限967万円を採用し、家計の余力と比べて低いほうを積立額にし、日次で実行を確認するまでの3ステップ図
    幅の下限を採る→家計の余力と突き合わせる→実行を確認する、の順で試算が行動に変わる(出典: 3ツールへ同条件を入力した当社の実測値・2026年8月4日)

    試算した金額を行動に変える手順は、判断に使う数字を1つ決める・家計の余力から積立額を確定する・実行を毎月確認する、の3段階です。試算で出た金額は、それ自体が成果ではありません。当社が受講者と進めている順番も、この形です。

    ステップ1 幅で受け取り、判断に使う数字を1つ決める

    複数のツールで試算すると、金額は幅になります。今回の実測でも967万円から983万円まで開きました。ここで大切なのは、幅の中から判断に使う数字を1つ決めてしまうことです。

    決め方の目安は、幅の下限側を採用することです。税金や手数料が計算に含まれていないツールが多い以上、低いほうの数字を基準にしておけば、後から下方修正する必要が生じにくくなります。上限側の数字は、うまくいった場合の参考値として置いておきます。

    数字が1つに定まらないと、次の積立額の決定に進めません。試算のやり直しを繰り返している状態は、判断の先送りと同じです。

    ステップ2 積立額を家計の余力から逆算する

    将来額から逆算した「必要な積立額」は、そのまま実行できるとは限りません。家計の毎月の余力を超えていれば、数か月で止まります。逆算型ツールで出た金額と、家計の収支から出た余力の金額を並べ、低いほうを採用します。

    差が大きい場合の選択肢は3つです。期間を延ばす、目標額を下げる、支出を見直して余力を増やす——このいずれかになります。金額別にどの程度変わるかは投資 積立 シミュレーションについてはこちらで扱っています。

    当社では、この工程を家計の把握から始めます。投資の前に支出の構造を確認しないと、余力の金額そのものが推測になってしまうためです。何から手をつけるか迷う段階の方には、家計管理から順に進める形を案内しています。

    ステップ3 実行が続いているかを毎月確認する

    積立額が決まったら、残るのは続けられるかどうかです。設定した直後は動いていても、支出が増えた月に止めたまま戻さない状態は起こり得ます。

    当社の見解:投資シミュレーションの数字は、達成すべき目標ではなく前提を可視化する道具だと当社は考えています。だから当社のABCashでは、入口・途中・出口の3点をそれぞれ別のツールで確認する順番を標準にし、そのうえで専属のファイナンシャルコンサルタントが、利回りの前提と積立額を家計に合わせて置き直します。さらに専用アプリで毎日フィードバックを行い、決めた積立額が実際に実行されているかを日次で確認する設計にしています。60日での習慣化を目標にした運用です。

    当社は金融商品を販売していないため、試算結果をそのまま特定商品の購入判断へ結びつけることはありません。2026年5月時点で累計9万人以上が受講し、2025年4月〜8月に実施した公式アンケートではトレーニング満足度95%という結果でした。決める前に前提をそろえ、決めた後に実行を確認する——この進め方を、当社は受講者と一緒に続けています。

    よくある質問

    投資シミュレーションはスマホアプリでもできますか

    今回取り上げた10本はいずれもブラウザで動くWebツールで、専用アプリを入れなくてもスマートフォンのブラウザから利用できます。金融庁やSBI証券のツールはスライダーで条件を切り替えられるため、移動中に数字を確かめる使い方にも向いています。

    アプリを選ぶ場合は、試算機能と取引機能が一体になっているものが多い点に注意してください。試算だけを目的にするなら、口座開設が不要なブラウザ版のほうが手軽です。

    ゲーム形式の投資シミュレーションは練習になりますか

    値動きを体験する目的であれば有効です。公的機関のJ-FLECが提供する資産形成タイムトラベルは、2000年以降の実際の相場データを使って運用結果をたどる形式で、下落局面を含めた値動きを操作しながら確認できます。

    一方で、短期売買を模した形式のものは、長期の積立で資産形成を考える場面とは目的が異なります。何を体験するためのツールかを確認してから使うと、時間を無駄にしません。

    ボーナス月だけ増額する条件で試算できますか

    今回取り上げた入口向けのツールは毎月一定額の積立を前提としており、2026年8月時点の確認範囲ではボーナス月の増額を直接入力する項目はありませんでした。代わりに、年間の投資額を12で割った金額を毎月の積立額として入力すると、近い結果が得られます。

    たとえば毎月2万円に加えてボーナス月に12万円ずつ年2回積み立てる場合、年間48万円になるため、毎月4万円として入力します。複利の乗り方が実際とは少しずれますが、20年単位の目安を確認する用途では十分です。

    FIRE(早期リタイア)を前提にした試算はできますか

    入口と出口を分けて試算すれば対応できます。まず入口のツールでリタイア予定時点の資産額を出し、その金額を出口のツール(三井住友DSアセットマネジメントやアセットマネジメントOne)に入れて、毎月いくら取り崩せて何年もつかを確認します。

    三井住友DSアセットマネジメントのツールは取り崩し開始年齢を選べるため、一般的な退職年齢より早い時点からの取り崩しも試算できます。ただし公的年金の受給開始前後で必要額が変わるため、生活費の前提は慎重に置いてください。個別の設計は有資格のファイナンシャルプランナーへ相談することをおすすめします。

    積立を軸にした基礎からの流れは、積立シミュレーションの基礎からの総まとめはこちらにまとめています。

    まとめ

    投資シミュレーションは、入口・途中・出口の3目的でツールを選び分けると迷いません。同じ条件でも複利の計算頻度や税・手数料の扱いで金額はそろわないため、出た数字は1点ではなく幅として受け取り、低いほうを判断の基準に置きます。そのうえで値動きと取り崩しを別のツールで確認すれば、試算は家計の計画として使える状態になります。積立シミュレーション全体の考え方は親ガイドで体系的に整理していますので、次はそちらで全体像をつかんでください。

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